賢い法律事務所の選び方
弁護士の「質」を見極める「眼」を持つこと
インターネットを検索すれば数多の法律事務所が見つかります。どこを訪ねればよいのか、入口で迷っているお客様も多いと思います。 まずは、法律相談の申込みをして実際に訪れてみることです。どのような弁護士が応対するかで大よそのことが分かります。 弁護士は医者と同じで資格試験は1つですが、その試験をパスした後にどの分野で専門性を伸ばすかは各人次第です。 特定の分野で相談したいのであれば、その分野を専門とする事務所を探すことです。
次に見極めなければならないことは、その事務所に所属するどの弁護士が自分の事件を担当してくれるのか、ということです。 例えば、労働事件の相談のため、労働事件専門の法律事務所を訪れたとします。 最初は、所長級の弁護士(いわゆるボス弁)が応対してくれるかもしれませんが、 勤務弁護士(いわゆるイソ弁)を抱える事務所であれば、実際の担当はイソ弁が任されることの方が多いでしょう。 カリスマ美容師に切ってもらおうと有名美容室を訪れたら、カリスマ美容師が実際にハサミを入れてくれたのは最初と最後だけで、 残りのほとんどはお弟子さんだった、というのと同じです。これでは高い料金を払ってせっかく有名店に行ったのに意味がありません。 また、その法律事務所が「労働事件専門」を掲げていたとしても、そこにいるお弟子さんたちがみな労働事件に精通した経験者とは限りません。 請求される報酬と実際に自分の事件の担当となる弁護士の「質」を事前によく見極めることが大事です。
「複数担当制」の良し悪し
事務所によっては、複数の弁護士がお客様の事件を担当するということをアピールしているところもあります。 いろいろな事務所の運営方針がありますので一概には言えませんが、複数担当制には良し悪しがあります。 複数担当制の場合、良い点としては、仮に1人の弁護士が病欠しても、あるいは他の事件で多忙であっても、 他の弁護士が対応できるということは言えます。しかし、他方で、弁護士同士の連携ができていないと、一人の弁護士に伝えたはずなのに、 弁護士同士で共有できていない、ということもあり得ます。
複数担当制を敷く事務所の本心としては、担当弁護士が退職する際、複数担当にしておかないと、 その弁護士しか分からないという理由でお客様を持っていかれてしまうというリスクがあり、これを回避したいという思いもあるようです。 スポットの依頼であればともかく、長期案件となる訴訟の場合は、勤務弁護士がころころと入れ替わる事務所よりも、 一人の弁護士がじっくりと腰を据えて対応可能な個人事務所の方が向いているのではないかと思います。
「無料相談」の良し悪し
事務所によっては、初回の法律相談を30分~60分無料としたり、 中には訴訟や労働審判を申し立てられた場合や組合から団体交渉の申入れがあった場合といった、切羽詰まった場合のみ、 無料としている事務所もあります。しかし、よく考えてください。どこの事務所もボランティアで法律相談を受けているわけではないので、 あくまでも「集客のためのツール」として初回無料にしているだけなのです。
実は、当職も一時、無料相談を行っていた時期がありました。しかし、無料にすると多数の問い合わせが殺到し、 多いときは1日に5~6件、無料相談を行うこともありました。1回の相談あたり、1~2時間を要しますので、 無料相談に応じているだけで1日が終わってしまいます。こうなると、 顧問契約をいただいている既存のお客様の仕事が回らなくなってしまいます。そこで、当職は無料相談を辞めました。
当事務所は、弁護士一人の個人事務所ですので、残念ながらお引き受けできる仕事量にも限界があります。 ただ、クオリティには自信があります。それは、他の弁護士にはない、 民間企業(人事部勤務)の経験と社会保険労務士等の専門性に裏打ちされたクオリティです。 当事務所は、クオリティに自信を持っているからこそ、無料相談をしていないのです。