弁護士の上手な活用法
弁護士に頼むべきはどんなときか
一般に、弁護士に依頼すると「高い」と思われがちです。確かに医者と違って「保険証」が使えるわけではないので 全額自己負担となることを考えると「高い」と言われるのも致し方ないように思います。 しかし、最低限必要な経費をケチるとかえって高くつく場合もあります。
例えば、訴訟の場合、弁護士を付けずに戦うこと(「本人訴訟」といいます)もできますが、 よほど知識のある方でない限り、とんでもない見落としをしたり、取り返しのつかない大ポカをしてしまう可能性があります。
一例を上げると、社員をクビにした後、不当解雇で訴えられたとします。このとき、クビ=「解雇」と簡単にとらえ、 あっさり解雇したことを認めてしまう経営者もいますが、本当にそれで間違いないのかきちんと事実関係を吟味する必要があります。 当該社員の側から退職をほのめかす言辞がなされていたのなら、自己都合退職であると主張できるケースもあるかもしれません。
また、賃金請求権の時効は2年ですが、これを知らずに3年前の給与の未払いを請求され、 「正しい金額を払っている」という主張しかせず、時効の主張をしないと、万が一の場合に、 勝てる事件でも負けてしまう可能性があります。特に相手方が弁護士を付けている場合には、残念ながら弁護士と素人の方とでは 法律知識の差は歴然です。絶対に自分も弁護士を付けるべきです。
弁護士をどうやって選べばよいか
どの法律事務所に頼んでも同じだろう、どの弁護士に頼んでも変わりは無いだろう、とお考えでしょうか。 それは間違いです。弁護士の「能力」や「質」には当然個人差ががあります。 医者にも「名医」と呼ばれる医者と「ヤブ医者」と呼ばれる医者がいるのと同じです。
ではどうやって見極めればよいか。残念ながら確実な方法というものはありません。
しかし、ある程度推測をすることはできます。その1つが「経験」です。 単純な弁護士としての稼働年数ではなく、「何をしてきたか」を確認することです。 様々な分野の業務を広く浅く行う弁護士と、ある特定の分野のみ専門的に特化して行ってきた弁護士とでは、 たとえ同じ5年であっても、「経験」は全く異なります。
労働事件は、ひとえに「経験」に左右される分野です。特に交渉案件になれば、いわゆる「落とし所」 を早期に見極め、交渉を自分のペースに持ち込み有利に運ぶためにも「相場観(センス)」が問われます。 それは弁護士が自ら経験値を積んで養っていくものです。
弁護士選びは、ご自分の会社を託すパートナー選びです。ご自身の「眼」で弁護士を見極め、 事件の解決にもっとも適した弁護士を選んで下さい。