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メンタルヘルス

メンタルヘルス

メンタルヘルスとは

「メンタルヘルス」という言葉。最近よく耳にするようになりました。 ときに当職が顧問先である企業からご相談を受ける案件のうちの半数近くにも上るような勢いです。 「メンタルヘルス」とは、言葉のとおり、「メンタル」(精神面)における「ヘルス」(健康)を意味します。 心の健康、精神衛生、精神保健とも称され、主に精神的な疲労、ストレス、悩み、さらに、典型的なものとして、 「うつ病」などの心の病気(精神疾患)に関する近年特有の「労働問題」です。

うつ病の疑いがある社員への対応

うつ病をはじめ、メンタルヘルス疾患の社員に対するケア(配慮)は重要です。まず、入口の問題として、 そもそも本当にうつ病なのか、という問題があります。多くの場合、社員が自ら診断書を持ってくるので、 その診断内容に従えば良いのですが、病気であることの自覚がなく、仕事がこなせない社員については 対処に苦慮するところでしょう。欠勤や遅刻の回数が多い、会議中に居眠りしている、ケアレスミスが多い等は、 うつ病のサインかもしれません。産業医に相談するよう勧めてみるのも手です。 また「精神科へ行け」とストレートに命じるのではなく、「最近眠れているか」といった問いかけから アプローチを試みるのが良いでしょう。

うつ病を理由に欠勤する社員への対処法

社員が診断書を持ってきてそこに「何日の加療を要する」と書かれていれば、それに従うのが良いでしょう。 「診断書なんて医者が患者の言うことを鵜呑みにして書いただけで客観性がない」などと反論したところで、 会社に一文の得もありません。無理に働かせて、病気が悪化したとなれば、それこそ会社の責任が問われることになります。 欠勤が続くようなら、就業規則の規定に従い、休職も検討しなければなりません。この間、当該社員に給料は支払われず、 健康保険から傷病手当金が支給されることとなるのが一般的です。 この傷病手当金が支払われている間はあまり問題になることはないのですが、傷病手当金は通常1年半で支給がストップするため、 それ以上休職が続く場合は、当該社員が労災の主張をしてくる場合があります。労災が認められれば、 労災保険から休業補償を受けることができるからです。労災は業務に起因して労働者が疾病を受けた場合等に認定されるものなので、 当然、当該社員の主張も、「過重労働が原因でうつ病になった」、 あるいは「上司からパワハラを受けてうつ病になった」といった主張となります。 こうなると、単にメンタルヘルスの問題だけではなくなります。メンタルヘルスの問題は根深く、また諸々の事情と密接に関わり合っているのです。

休職している社員を復職させるときの注意点

うつ病で休職していた社員を復職させるときにも、最大限の注意を払う必要があります。 大抵の場合、就業規則で認められた期間をめいっぱい使って、あるいは傷病手当金や従業員会等から支給される見舞金等をすべてもらい切ってから、 何ももらえなくなったところで、はじめて「復調したので復職したい」といってくるケースが多いです。当然、規定に則り、 主治医の診断書をもらうのですが、このとき主治医はクライアントである患者から「復職可能」という診断書を書くように言われて、 この意に従う診断書を書いてしまう傾向にあります。そこで、産業医等、別の医師にも診察させ、セカンドオピニオンを必ず取ることが肝要です。 その上で、復職させるか否か、復職させるとしてもリハビリ勤務(ならし勤務)を認めるか否か等、最終的な判断を会社が行うことになります。 なお、リハビリ勤務については「端的に休職中のリハビリ」なのか、それとも「すでに復職し勤務している状態」なのか、という問題もあります。すなわち、給料を支払うのか、 勤務として評価するのか、会社までの移動で事故にあったら通勤災害になるのか、等実務的な問題は多々あります。 後日のトラブルを回避するためにも、リハビリ勤務を認める場合には、「リハビリ勤務規程」等を制定し、 その制度概要をあらかじめ規定化しておくべきです。

休職と復職を繰り返す社員への対処法

<いったん休職し、復職しても、再度同じ病気が原因で欠勤し、休職、復職を繰り返す社員もいます。フィジカル(身体面)の病気と違い、 メンタルの病気は目に見えず、また一度復調してもふとしたきっかけから再発することは珍しくありません。 したがって、メンタル面の病気の場合は、「完治した」とは言わず「寛解した」(症状が落ち着いて安定した状態)という言葉を使うようです。 しかし、会社側としては困ったものです。せっかく復調し、またバリバリ仕事をしてもらおうと思っても、すぐにまた欠勤に入ってしまうというのでは、 大事な仕事をなかなか任せられません。中には、傷病手当金をもらい続けるために休職と復職を繰り返す(もちろん、 同一疾病では受給できないので診断書上は微妙に傷病名が違う)者もいます。ここまでくると作為的なものを感じざるを得ません。 そのような社員をけん制する方法は、就業規則に休職期間の通算規定を設けることです。 さらに、復職願いがあった段階で主治医や産業医とも連携し、再就職支援込みの退職勧奨を行うことも一考に値します。

いわゆる「新型うつ」とは・・・?

最近、耳にする言葉に「新型うつ」という症状があります。実はマスコミ用語で、精神医学上の定義ではないそうですが、 一般的に、従来型のうつ病は、自責的で無気力となるのに対し、新型うつの場合は、自己中心的で、他責的で、 仕事のときには無気力となるが遊びのときには全力投球できるそうです。一見すると、単なる「甘え」「さぼり癖」のようにも見えます。 これを「病気」と位置付けること自体に抵抗を覚えるという意見があるのもうなづけます。 しかし、実際に当職も顧問先からこの症状に該当する社員の件で相談を受けたことがあります。 真偽は別として、「病気」という形式を取っている以上、医学の知識がない人事担当者がうかつに判断するのではなく、 従来型のうつ病と同様、主治医や産業医と連携を取り、対応にあたるべきです。 ただ、問題なのは、遅刻や無断欠勤等について厳しく指導すると、 しばらくは態度が改まるが、連休をはさむとまた元に戻ってしまう、といった傾向にあることでしょう。 「新型うつ」と思われるケースは入社数年といった比較的若い社員の例で目立ちます。 ただ単に「だらしないだけ」ともとれる勤務態度については会社はやはり毅然とした態度で問題視せざるを得ません。 繰り返されるようであれば最後通告を行うとともに退職勧奨を行うのが、会社のみならず、 本人にとっても今後の人生を考えた場合良策なのではないかと考えます。

<参考>

なぜか「患者」は大企業のサラリーマンと公務員ばかり
「新型うつ」これが真相です(『週刊現代』2012年6月18日発売号)

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